住まいづくりのパートナー選びは、正しい知識を得てからにしてください。
 
建築家・工務店紹介サイトはたくさんあるが、
     本当に信頼できるのはどこ?


 済産業省はプロデュース会社を住生活エージェントと分類し、次のように定義づけています。

 「住生活エージェントとは、生活者と供給者との情報格差を埋める役割を担い、生活者が適切な住環境を選択できるように、専門的な知見を基礎として公正中立な立場からサービスを行う事業者のことをいう。」

 住宅を建てようとする建て主に対し、さまざまな支援サービスを行う会社のことです。

 業者側と建て主側の知識の差による、建て主の不利益の解消など、建て主よりの立場での運営となっています。

 あらかじめ登録された建築家や工務店を、建て主の話を聞き、条件に沿うように紹介します。
 
また、建築家や工務店選びだけでなく、建築計画すべてに対して相談にのります。

 今まで業者にまかせっきりだった家づくりが、自分達も楽しく参加でき思い通りの家が建てられます。

 また、住宅を販売しているのではないので、相談したからといって強引なセールスなどはありません。


@マッチング型 

 あらかじめ建築家や工務店を各社の基準で登録し、建て主の条件と希望にあったパートナーを紹介します。

 紹介した後には計画に関わりませんので、建築家や工務店に直接依頼する場合とあまり変わりません。

 サービスのコストが安価なため、ほとんどが無料、または低額で建築家や工務店を紹介してもらえます。

 紹介後は計画に関わらないということは、建て主にとっては気軽で、かつ余計な費用を抑えることができる反面、万一建築家や工務店とのトラブルなどが起こった際には建て主自身で解決を図る他はなく、自己責任原則を理解されていることが利用の条件となります。

 ただし、トラブル発生時には仲裁に入るなど、一定のサポートサービスを提供する会社もありますので、サービス内容をよく確認することが大切です。

 現状では、マッチングを専業にしている会社は少なく、プロデュースや施工の付帯サービスとしてマッチングサービスを提供している会社がほとんどです。

 マッチング会社の良し悪しは、登録されている建築家や工務店の質です。

 作風や相性はともかく、建て主が建築家や工務店の技量を評価することは難しいことですので、登録の時点でどれだけ厳しく選考されているかを確認することが大切です。

 一般に、マッチング専業の会社ほど登録建築家や工務店の質は高く、プロデュースや施工が主業務の会社は登録建築家や工務店側にも多くの制約がつくことから、著名な建築家やベテランの建築家、優良工務店の登録は少ないようです。
 
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A設計コンペ型

 ウェブサイト上で住宅設計コンペを開催し、あらかじめ登録した建築家が建て主の土地や希望に合わせたプランを競い合います。

 建築家は契約前にプランを提供しない方も少なくありませんので、数多くのプランの中から気に入ったものを選べることは建て主にとって大きなメリットであり、ひとつの理想のシステムと言えますが、現実的には技術上の問題点を抱えています。

 最も大きな問題点は建築家登録に基準を設けることが難しく、学生や経験の少ない建築家、住宅以外の設計者もコンペに参加することになることです。
 デザインそのものは優れていても、基本性能、法律、予算の面で実際には建築不可能なプランが混在することになります。(法規や予算を守らないほうが見栄えがよくなる傾向があります)

 主催者側は提出されたプランをダブルチェックしたり、概算見積もりを作ったりしていますが、図面の段階で実現性を100%判断することは難しいといわざるを得ません。

 また、ダブルチェックや概算見積もりのための作業コストが積みあがり、決して安価とはいえないサービス料金になってしまいます。

 一方、サービス料金を抑えるために、建て主の自己責任を求めることによってプランを素通しで提供する会社もありますが、この場合は建て主自身がある程度、住宅建築や法規、コストに詳しいか、または信頼できる助言者がいないと不安が残ります。

 仕組みとしては秀逸なものですので、さらに完成度の高いサービスが待たれます。
 
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Bプロデュース型

 本当の意味でのプロデュースを行います。

 プロデューサーが建て主の要望を元に、建築家や工務店をコーディネートし、進捗管理・設計監理・予算管理・工事監理・アフターメンテナンスなど、計画全般にわたってサービスを提供します。

 建て主側に立つ第三者が目を光らせてくれる事によって、トラブルを未然に防ぎ、建て主の希望を細部にわたって実現します。

 プロデュース料は決して安くありません。全額をプロデュース費として請求されるかは別にして、少なくとも総額で200万円以上は覚悟しなくてはなりません。

 腕のいいプロデューサーは確かに満足度の高い住宅を作りますし、工事費をうまく圧縮することによって、プロデュース費を払ってもお釣りが来るということもありえます。

 逆に、選択を間違えれば単に議事録書きや連絡業務に高い費用を払うことになり、場合によってはプロデューサーが入ることによって、かえって計画が混乱することさえあります。

 建築家や工務店よりも、プロデューサーそのものの信用や実力、相性を見極めることが何より重要となります。

 全く同じサービス内容の会社は2つとありません。

 ほとんどの企業がウェブサイトを開設していますので時間をかけて読み込み、ご自分に必要なサービス・必要のないサービスを整理して、適合性をよく確認しましょう。

 プロデュースの価値は設計者や施工者から独立した立場で、建て主の利益のみを客観的にチェックし、守るところにあります。

 しかし、建築家や工務店、建材メーカーが建築プロデュースの体裁をとって設計や施工、建材販売の営業手段としている場合が少なくありません。

 その場合は、登録建築家や登録工務店の選考基準が建て主の利益とは無関係であったり、施工する会社や建材がすでに決まっていたりで、建て主側に立つという本来の建築プロデュースのメリットが損なわれる場合があります。

 工務店が建築プロデュースの体裁をとっている場合は、施工する会社がすでに決まっているだけでなく、外部の建築家が設計を担当したとしても、その建築家は工務店から仕事を貰っていることになりますので、事実上、建築家の工事に対するチェック機能は働かず、建築家の家としてのメリットも期待できません。

 それでもいい、という割り切り方はありますが、その場合は建築プロデュースや建築家の家ではなく、工務店の設計・施工であることを前提に検討する必要があります。
 
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プロデュース会社を選ぶときは、ウェブサイトを確認し、経営母体がどんな会社か、建築家や工務店選びに制約はないかなどをチェックしてください。
 会社組織でなく個人の場合は、特に要注意です。
 まずは、会社概要を確認してください。

 残念ながら、建て主に見えないところで、自社の利益を優先させるような会社もありますので、システムに疑問を感じたら電話やメールで質問をしてみてください。
 
 特に、お金の流れ(誰が誰に、いつ、いくら払うのか)は納得のいくまで説明を求めて下さい。

 説明を躊躇したり、設計料や工事費が建て主に直接見えない、特定建築家や特定工務店を理由なく薦める場合は要注意です。

 登録建築家が極端に多かったり、登録数を売り物にしている場合は注意が必要です。

 無料で登録できるところや、お金さえ払えば登録できるところは要注意です。

 登録工務店の場合は、建築家と違って選考基準は量で測れる項目(財務状況、施工棟数、技術者数など)が主になります。

 まず、それらの選考基準が公表されているかをご確認ください。

 しかし、経営状況の良好な工務店はそれほど多くはありませんので、基準が公表されておらず、かつ登録数が数千社に上る場合は、建て主の利益とは無関係な理由、例えば登録すれば特定建材を安く仕入れられる、建材の決済期日を伸ばしてもらえるなどで登録した可能性があります。